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小児科医として予防接種について知ってほしいこと。

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予防接種って必要なの?

ワクチンとは細菌やウイルスが出す毒素を弱めたり、毒性をなくしたりしたものです。ワクチンを接種することで、体の中に免疫を付け、いざ本当の病原体に感染したときにその免疫で体を守る。これを予防接種といいます。

 

痛い思いするし、副作用も怖いし、本当に予防接種って必要なの?と思う親御さんは多いと思います。

 

一時期は予防接種の副作用がニュースになったりして怖いイメージがついていた予防接種ですが、近年「コウノドリ」で風疹に対するワクチンの有効性が話題になったり、はしか(麻疹)がフィリピンで大流行して多くの人が亡くなったニュースがあったりして、少しずつ予防接種の必要性が再認識されています。予防接種は健康な時に感染を予防する目的で打つので、副作用の心配がより強く感じられるのですね。例えば、輸血が絶対必要な状況で輸血の感染のリスクが怖いから輸血したくありません。なんて人は滅多にいません。

 

お子さんがもし出血で危険な時には輸血を決断できると思います。

脳炎・脳症になってからでは、超有効な治療法は現在の医療では残念ながらありません。脳炎・脳症を予防してあげるのが唯一の治療なのです。

治療が「重篤な状況」の後なのか前なのかの違いです。

是非大切なお子さんを守る決断をしてあげてください。

 

最近はニュースをみて怖くなったのか「ワクチンは打たない派ですが、風疹と麻疹だけワクチンを打ってください。」なんて親御さんも見かけます。自然派だけどお子さんを病気から守りたい気持ち、伝わります。

そこまでワクチンの重要性を認識できたならもう一歩です。今流行っていない感染症が次いつ流行るかはわかりません。特に日本で予防接種に採用されているワクチンは海外に比べて数が少なく、国が「超安全」と認めたものばかりです。

今日はワクチン接種が心配な親御さんに対し、ワクチンについて、現在の医療で分かっている情報を提供します。

 

 

うちの子、ワクチン打ってないけど風邪ひかないんです。

こうおっしゃる親御さんがいます。本当に予防接種を受けていないから免疫が強くなったのしょうか?

いいえ。感染症には個人免疫と集団免疫という考え方があります。

個人免疫とは予防接種を受けた人、または自然に感染した人その人が、免疫によって感染症から守られることです。

集団免疫とは多くの人が予防接種を受けることによって、感染症にかかる人がいなくなり、その感染症自体が衰退していくことで感染症から守られるという考え方です。世の中には免疫不全やがんの治療などで受けたくても予防接種を受けられない子どもがいます。その子たちは個人免疫が獲得できないので集団免疫によってのみ、その感染症を予防できます。

みんなが予防接種を受けることでワクチンを接種できない子を守ることができるのですね。

予防接種を受けていないけど、風疹や麻疹にかからないのは、ほかの子たちが予防接種を受けており、集団免疫があるからかからないだけなのです。

仮に予防接種を受けていない人たちだけで集団生活を行えば、いざ感染症が流行した時に大きなダメージを受けます。前述のフィリピンの例がこれに当たります。フィリピンでは以前デング熱ワクチンで重篤な副作用があり、定期接種が中止されたことで、麻疹の予防接種も受けたがらないといった背景があるそうです。

 

ワクチンよりも自然感染の方が強い免疫が作られるのでは?

実はこれはほぼ正しいです。

ただし、自然にかかった方が合併症のリスクが上がります。

例えば麻疹や水痘などの感染力の強い感染症では1度かかれば一生続く免疫が獲得できると考えられています。予防接種だけでは途中で抗体価が下がってきてしまうことがあります。なので例えば麻疹の予防接種は2回打たなけれはいけません。

 

麻疹を例にとると予防接種を受けて重篤な副作用が出る確率は10万~100万分の1(宝くじ1等くらい)

予防接種を受けないで感染したときの脳炎のリスクは1000分の1と言われます。

 

かからなければ大丈夫でしょ?感染の確率は低いよ!

感染しないから大丈夫という人がいますが、最近は交通網が全世界規模であり、海外で流行した感染症はすぐに日本にも持ち込まれます。

だから最近慌てて麻疹のワクチンを受けたくなる未接種の人が多いのですね。

「自然」というのは外環境に応じで常に変化します。飛行機がない時代は確かに予防接種を受けなくても海外で流行している感染症に罹るリスクは少なかったかもしれません。ワクチンの副作用より感染のリスクの方が低いよ。という意見にも一定の根拠があったのかもしれません。

ただ、少なくとも2019年における「自然」とは海外含め、いつ流行するかわからない感染症に対して予防接種で免疫を獲得してある状態です。

 

流行してから打てばいいんじゃないの?

これも多いです。それではワクチンはどれくらい余っているのでしょうか?年間100万人の新生児が生まれますが、製薬会社はいったいどれくらいワクチンを生産するでしょうか?製薬会社は慈善団体ではありません。営利企業です。会社の利益をしっかり確保できるように数を計算し、無駄が出ないようにワクチンを製造します。

例えば年間2%の子どもが予防接種を接種してもらえなかったとして、いざ流行したときにやっぱり受けたい!と言い出したら。。。

ワクチンが足らなくなるのは明白ですね。後からではなく、今、受けましょう。

 

任意接種のワクチンは必要あるの?

そもそも、予防接種において定期接種と任意接種のワクチンの差は大きくありません。効果がないから任意接種になっているわけではなく、ただ予防接種法で決められているものが定期接種ワクチンと言われているにすぎません。

つまり、上の問いには

はい。必要です。

と答えます。自治体によっては自己負担だったり、一部補助が出たりします。お子さんの健康はお金では買えません。いざかかってから入院、なんてなるよりは子どもも両親も負担が少ないと思います。

 

まとめ

予防接種の必要性について今日は書きました。

もちろん予防接種が100%感染症や重症化を予防できるわけではありません。副作用のリスクも0ではありません。そんなスーパーワクチンが開発されるのを私たちも待ち望んでいます。

 

でも、2019年には絶対安全、効果100%のスーパーワクチンは存在しません。

 

かわいいお子さんが重篤な感染症にかからないためにも、重症化を予防するためにも予防接種の必要性をよく検討してくださいね。

 

では(。・ω・)ノ゙

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