小児科医が子育てに奮闘しています。

小児科医。共働き夫婦。娘が生まれ仕事に子育てに奮闘中。たまに病気についても書きます。子育てについては情報共有して頂けると助かります。

母乳vsミルク 授乳・離乳の支援ガイドの改訂

終わらない母乳vsミルク論争

本日ヤフーニュースをみていると、

母乳にアレルギー予防効果「なし」厚労省が新指針

と見出しがありました。

headlines.yahoo.co.jp

平成19年に作成された「授乳・離乳の支援ガイド」について

10年もたつしそろそろ改変しないとな~

となり、平成28年度から研究班が組まれガイドラインの改訂版を作成してきました。

 

平成7年   改訂 離乳の基本

平成19年 授乳・離乳の支援ガイド

平成31年 授乳・離乳の支援ガイド 改訂

との流れです。

 

3月8日に改定案がまとめられるとのことでニュースになっていたようです。まだ本日の議事録や資料等は厚労省のHPに上がっていませんので、今後議事録がまとまり次第内容を変更するかもしれません。

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kodomo_129050_00001.html

厚労省のHPはこちら↑

 

さて、今回は母乳、ミルク、離乳食について見ていきましょう。

 

母乳栄養推進の功罪

母乳栄養のメリットは今までたくさん論じられてきましたが、そのせいで母乳栄養にしなくては。というお母さんのプレッシャーが強くなっているようです。

日本で母乳栄養を希望する方は非常に多く、妊娠の時点では93%のママさんが母乳栄養を希望されているそうです。

そのため出産後も母乳栄養の比率がとても高く、生後1か月、3カ月の時点ともに完全母乳栄養の率が最大であり、5割を超えています。

母乳をあげている。という面では混合栄養も含まれますから、合計すると9割の児が母乳を飲んでいるとのことです。 

 

f:id:kobo2:20190308231819p:plain

f:id:kobo2:20190308193526p:plain

出典:厚生労働省「平成27年乳幼児栄養調査」

 

世の中には「母乳神話」とでもいうべきなのか様々な母乳のメリットがあふれています。日本では出産育児は母親しかできない。母親は苦労しなくてはいけない。そんな雰囲気が根強く残っています。

無痛分娩も、人工ミルクも、市販のベビーフードも日本ではあまり広まっていません。(古き良き、というか保守的というか。。)

 

母乳をあげられなかったり、ミルクを足さなきゃいけないと「ごめんね」と思うお母さんが少なからずいらっしゃいます。

 

今回の改定はざっくり言えば、

母乳はいいよ、でも絶対正義じゃないし、ミルクでもしっかり育つから心配しないでね!

 

という改訂です。

 

母乳のメリット・デメリット

・メリット

免疫物質を含み、児の免疫機能を補う

性質や栄養価が赤ちゃんに合わせて自動で調整される

 

・デメリット

鉄分が少ない

お母さんしかあげられない(大変?)

f:id:kobo2:20190308233341p:plain

 

主なところはこれらでしょうか。ほかにも出産直後の子宮収縮の促進や母児の愛着形成の意味もあります。

 

やはり免疫機能を補ってくれるのは大きいです。

今回の改定ではアレルギー予防効果はなし。と大々的に報じられましたが、これはかなり微妙な言い回しで、

小児期のアレルギー予防効果はないけど、喘息とかアレルギー性鼻炎は少なくなる報告はあるのです。

 

どういうことかといえば、

母乳栄養では免疫機能が高まるため、ウイルス感染しにくい。

→ウイルス感染しにくいから気管支炎や鼻炎になりにくく、副次的に喘息とかアレルギー性鼻炎の発症リスクが少なくなる。

ということです。

 

逆に言えば、今まで母乳の子は喘息とか少ないとされてきたけど、それは母乳が直接アレルギーを抑えているのではなくて、風邪ひきにくいから喘息になりにくいんだよ。ということみたいです。

 

ミルクのメリット・デメリット

・メリット

好きな分だけ作れるし、どれくらいい飲んだか分かりやすい

お父さんもあげられる(あげるの楽しい!ママも少し休める?)

 

・デメリット

高い

 

f:id:kobo2:20190308233458p:plain

最近のミルクはとても栄養バランスに優れており、溶けやすく、作るのも簡単です。でも、夜中にお湯を沸かして溶かして、冷ましてあげるのは、やはり結構大変。

 

ただ、作った分だけあげられるし、どれくらい飲んだかわかるので、体重増加が心配な時は重宝します。

おっぱいを出す必要がないので、外であげられるのも地味にメリットです。

 

母乳だけと混合栄養に肥満の発症に差がないと明記

これもかなり微妙な言い回しです。

6-7か月間の完全母乳栄養がほかの栄養法に比べて7歳時の肥満を減らし、小児期の肥満、過体重発症リスクを減少させると言われています。

また、母乳栄養児ではほかの栄養児に比べのちの2型糖尿病の発症リスクが低いとも言われています。

 

しかし、完全母乳栄養児と混合栄養児の間に肥満発症に差があるとするエビデンスは認められていません。

 

混乱しそうですね。つまり言いたいことは、母乳栄養だと肥満や糖尿病のリスクが少ないのは確かだけど、母乳とミルクの混合栄養でも肥満発症に差は認められないよ。

少しでもミルク飲んだら肥満になるわけじゃないから安心してミルクも使って大丈夫だよ!

ということです。

体重増加が不安、ママの体調がすぐれない、おっぱい痛すぎであげられない。そんなときは安心してミルクも使ってね。

そんなメッセージが込められているようです。

 

離乳食は5-6カ月からね

ただし、4カ月以前の早期に離乳食を開始することは肥満のリスクをあげると言われています。

離乳食は5-6カ月になってからにしましょう。

また、早く生まれた子は、その分離乳食の開始を遅らせて大丈夫です。例えば1か月早く生まれた子は6-7カ月になったら離乳食を開始しましょう。

目安はスプーンを口に入れてもベロで押し出さなくなった頃です。

 

あと、よく聞かれるのですが、離乳準備食といって離乳食を開始する前に果汁をあげたり、お風呂の後に麦茶や白湯を上げる必要はありません。

水分補給の際にもミルク、母乳を上げてください。

 

果汁、麦茶、白湯は離乳食が始まってからでOKです。

それらでお腹いっぱいになるとミルク、母乳の飲む量が減ってしまい赤ちゃんの栄養が足りなくなります。

 

さいごに

※厚労省の新指針がHPで発表されたら読んでみて上記の内容を修正するかもしれません。

 

母乳だけで育てないと!と心配しているお母さん、ミルクに頼っても大丈夫です。パパもミルクあげたがってます。(パパ目線)

必要な時は分担して育児をしましょう!

 

では(。・ω・)ノ゙